「生命保険って、だれにでも必要なもの?」
生命保険加入のきっかけとなりやすい新社会人の場合を例に考えてみましょう。
最も多いパターンが、“社会人になったら保険の1つぐらい入るのは常識よ!”と勧められ、なかば勢いだけで加入してしまうケースです。
中には「年末調整のときに自分だけ貼るもの(生命保険料控除の証明書のこと)がないのは恥ずかしい」という訳のわからない理由で加入を決めたという人も…。今の自分にとっての生命保険の役割をしっかりと理解したうえで加入している人は少ないようです。
そもそも生命保険とは、日々の暮らしのなかで起こるかもしれない「死亡、高度障害、長期入院」といった万が一の事態に備えるためのものです。
加入する意義について、死亡時に保険金が受け取れる「死亡保障」を例に考えてみましょう。
当たり前のことですが、死亡保障によって受け取る「死亡保険金」を、加入者(被保険者)自身が受け取ることはできません。一般には家族や配偶者が受取人となるわけです。
つまり「適正な死亡保障額=あなたが扶養している人があなたの死後に生活していくのに必要な額」と考えられます。
独身の方なら両親の世話をしていかなければならないといったケースを除き、死亡保障はほとんど必要ないわけです。しいて言えば自分が亡くなったときに挙げてもらう葬儀代やもし抱えている借金があればそれを埋め合わせる分位でしょう。
保険に加入するとき、「毎月このくらいの保険料なら払えるでしょう」などと言われることがあると思います。
ですが仮に月々の収支からみて払い続けられる金額であったとしても、「その保障内容が今の自分にとって必要なのか」という根本的な“ものさし”を見失ってはいけないのです。また、間違っても保険金の額が“あなたの人間的価値”などと誤解したり、「親孝行ね」という言葉につられて不必要な保険に入らないよう注意したいものです。
かと言って扶養家族がいなければ生命保険商品は必要ないのでしょうか?
一般には入院時の保障が中心となる医療保険が適しているといわれますが、むやみに加入する前に先程の“ものさし”を登場させてみましょう。
病気のときの経済的リスク、つまり入院時にかかるであろう自己負担額などに対して、自分に保障が必要なのか、どこまでの保障を保険に求めるのかを冷静に見つめることが必要です。
保険が威力を発揮するのは“万が一のとき”であり、いざとなったら貯金を取り崩すと割り切って貯蓄に励む人もいるでしょう。一方で「うちはガンの家系だから心配だ」という人もいるでしょう。
加入する際には、商品の保障内容を理解することが必要です。
医療保険に加入していれば、入院したときは必ず保険金がもらえると思っていませんか?
商品によりますが、たとえば「4日免責」の保険であれば、保険金が受け取れるのは入院5日目以降です。それならば、と1泊2日の入院から保険金が受け取れる商品を選ぶと保険料は若干高くなります。
商品ごとに細かい条件が異なるので、万一の時に「こんなはずではなかった」と後悔したり、不必要に高い保険料を払い続けることがないよう、事前にしっかりチェックするべきです。
生命保険とは決して付き合いで加入するものではありません。
あなたが万一の保障をどのように考えるか、その設計に適した商品があって初めて加入を考えるべきものなのです。
人から勧められるのではなく、自発的に保険のパンフレットをもらいにいったり商品内容が知りたくなったときが、あなたの保険の“入りどき”なのです。
(日経マネーデジタルより)